皮膚科 アレルギー科
小児皮膚科
2005年に筆者は兵庫県西宮市と中国チベット自治区の小学1年生を対象としてアトピー性皮膚炎の有症率、皮膚バリア機能、入浴習慣についての調査を行い報告しました(澄川他、アレルギー56:1270-1275)。
アトピー性皮膚炎の有症率は西宮市では4.26%であったのに対して、チベットでは0%でアトピー性皮膚炎の子供はいませんでした。一方皮膚バリア機能はチベットに比べ西宮市で低かったです。このことから皮膚バリア機能が低いと、アトピー性皮膚炎の有症率が増加する傾向が見られました。
このことから、
皮膚バリア機能が低いと、
アトピー性皮膚炎の有症率が
増加する傾向が見られました。
同じ黄色人種なのになぜ西宮市とチベットの子供で皮膚バリア機能が異なるのでしょうか。
入浴習慣について調べると西宮市では毎日入浴し石鹸を使用するのに対して、チベットではシャワー浴で入浴・石鹸使用回数は月に2.2回と極めて少ないことがわかりました。
結果からは、あまり洗わないチベットの子供たちの方が皮膚のバリアが保たれ、アトピーの発症を抑えている可能性が示唆されました。
この調査は筆者が石鹸の使用頻度が少ないことが皮膚バリア機能を保つことにつながる可能性を考えたきっかけとなりました。
以下のような報告もあります。
イギリスでは1964年と1999年を比較するとアトピー性皮膚炎の罹患率は3倍以上に増加しました。この原因として浴室の整備と石鹸使用量の増加が挙げられています。
石鹸で頻回に洗うことで、皮膚バリア機能低下を起こすのではないかと考察されました。
一方アトピー性皮膚炎において汗は増悪因子です。汗に含まれるカビが分泌するタンパク質が抗原となり、皮膚に痒みを起こすヒスタミンを遊離させます。
そのため汗を洗い流すことはアトピー性皮膚炎のコントロールに良いとされ、実際にアトピー性皮膚炎の小中学生に昼休みにシャワー浴を行ったところ皮疹の改善が見られたという報告もあります。
これらの研究ではシャワー浴時に石鹸・シャンプーは使用していないことから、汗をきれいに洗い流すことが重要と考えられます。
したがってアトピー性皮膚炎の方に対しては、
入浴時の
石鹸・ボディーソープ類の使用を
陰部や腋窩などに
とどめておくことを勧めています。
毎日の入浴は問題ないと考えていますが、逆に無理に毎日入る必要はありません。
あまり入浴せず、石鹸を使用していないチベットの子供たちはアトピー皮膚炎にならず健康を保てているわけですから。
以上が当院でアトピー性皮膚炎の方に対して、あまり洗わないように指導をしている理由なのです。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
| 午後 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × | × |