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アトピー性皮膚炎について
~院長 澄川靖之~

アトピー性皮膚炎の原因は?

「アトピー性皮膚炎の原因は何でしょうか?」

よく皆さんから質問を受けます。

その意図は“アトピーの原因を取り除けばアトピーは治るのではないか”ということなのだと思います。アトピー性皮膚炎の関連図(上記)を見てください。

私はアトピーにはこの4つの要素があって、矢印の方向にぐるぐる回り続けている状態だと考えています。それぞれについて解説します。

 

①皮膚のバリア機能の低下

皮膚は最外層に「角層」という油とタンパクが混ざり合った膜で覆われています。
これが脱落したものがです。

角層は水をはじくなど外界からいろいろな物質が皮膚を通して体に入るのを防いでいます。
同時に体内から皮膚を通して水分が蒸発するのもブロックしています。
 

また角層内には「抗菌ペプチド」という生体が作り出す抗菌物質が練りこまれており、角層上で無限に細菌が繁殖するのを防いでいます。
 

したがって、角層を剥ぐと皮膚のバリア機能は大幅に落ちてしまいます。
そのため垢すりなど皮膚の角層を落とすことはよくありません。

乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方にはもともと角層内に含まれる「フィラグリン」というタンパクが少ない人が多いことがわかっています。
 

そのため角層がはがれやすくなっており、皮膚のバリア機能がもともと低いのです。

また生活習慣で洗いすぎることでも皮膚のバリア機能が低下します。
このことについては“※チベットにはアトピーがいない?”でお話しします。

 

②抗原暴露量の増加

炎症反応を誘発する原因となる物質を「抗原」といいます。

体内に抗原が入ってくるとそれを排除したり無毒化しようとする炎症反応が起こります。皮膚のバリア機能が下がっていると外界の抗原がどんどん皮膚に入ってきて炎症を起こすようになります。

アトピー性皮膚炎患者ではダニ抗原に対するIgE抗体(アレルギーを誘発するタンパクでいわゆるアレルギー検査で調べているもの)が高値になることが知られています。

これは皮膚のバリア機能が低下しているため環境中のダニ抗原がどんどん皮膚に入っていた結果だと考えています。

 

③炎症の誘発

外界から抗原は入ってくるとそれに対し炎症反応が起こります。
特に皮膚を経由して抗原が入ってきた場合アレルギー性の炎症(Type2炎症といいます)が引き起こされることが知られています。
そのため乳児期では湿疹病変から食物抗原が入るのを防いであげる必要があります。
 

詳しくは“※乳児湿疹と食物アレルギー”でお話しします。

このアレルギー性炎症では強いかゆみとともに皮膚で強い炎症を引き起こします。そのためかゆみの強い湿疹病変を形成するのです。

炎症を起こした皮膚では皮膚のバリアが破壊されています。
皮膚の角層ができるまでは1か月から1か月半かかりますので、炎症がなくなった状態でもすぐにバリアが戻るわけではないのです。

 

④そう痒の増加

近年かゆみを引き起こす物質(インターロイキン31など)がわかってきました。
同時にアレルギー性炎症ではこれらのかゆみを引き起こす物質が作られることが明らかになりました。

したがってアレルギー性炎症ではかゆみが増加します。
 

そのため掻破により皮膚を傷つけ皮膚のバリア機能が低下します。
「かゆみがあっても掻かなければいいのではないか?」という考え方もあります。

ただ日中は我慢できても寝ている間に無意識に掻いてしまうので実際は不可能です。
そのためかゆみのコントロールは重要です。

 

下記のように一度このループに入ってしまうと永遠に悪循環し続けることになります。
これがアトピー性皮膚炎の本態だと考えています。

アトピー性皮膚炎の原因=スタートは先ほどの4要素のいずれから開始しても同じ病態に行きつくことになります。

「皮膚のバリアが弱い」ことが原因である人もいれば「アレルギー性炎症を起こしやすい遺伝子が原因」の人もいるということです。
 

そのためいまだアトピー性皮膚炎の原因が特定できていないのは、

人それぞれにより
原因が異なるからではないか

と考えています。

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